無料で使えて便利な解析ツールをご存じですか？今回の社内セミナーでは、「解析ツールMicrosoft Clarity」について、デジタルマーケティングの専門家、田実 日出翁先生に教えていただきました。
Microsoft Clarityとは？無料で使える強力な分析ツール
2024年6月に開催されたセミナーでは、WEBサイトを分析できる無料ツールMicrosoft Clarityに関して紹介いただきました。一般的にはGoogleアナリティクスがほとんどのサイトに導入されている時代。実はあまり、このツールを知りませんでした。。。だからすごく良かった（笑）。そして実際に使ってみるとインターフェースの見やすさや、ヒートマップの精度に感心しました。特にユーザーがサイト内を、どのように動いたか、動画で見れる録画機能は、ユーザーの行動がまるわかりで、すごいなあと驚きました。
Microsoft Clarityとは
2020年にMicrosoftがリリースした無料のWEBサイト分析ツールです。まず特徴として、トラフィック数に上限がなく、誰でも無料で利用できます。そして機能も優れていて、ヒートマップやユーザーの行動を録画するレコーディング、Googleアナリティクスとの連携など、機能も多彩です。
【主な機能】
ダッシュボード
ユーザー数やセッション数、クリック率などの基本的なウェブサイトデータを一目で確認。アクセス解析指標や人気のあるページ、ユーザーが利用しているデバイスに基づいた改善ポイントなども表示されます。
レコーディング
ユーザーの動きを録画し、どのように行動しているかを視覚的に把握できます。これによって、ユーザーの行動を具体的に理解でき、改善策を見つけることができます。本当に「百聞は一見にしかず」と感じます。
ヒートマップ
ユーザーがどこをクリックし、どこを無視しているか、どのくらいスクロールしたかをヒートマップで確認できます。クリックヒートマップ、スクロールヒートマップ、領域ヒートマップの3種類があり、詳細な分析が可能です。
Googleアナリティクス連携
Googleアナリティクスの主要データをClarityで表示し、統合的な分析が可能です。
Microsoft Clarityの注意点
Clarityは無料で簡単に導入でき、使いやすいインターフェースです。リクエスト制限がなく、安心して利用できます。ただし、AIを活用しているため、データの偏りや、プライバシーの懸念がある点には注意が必要です。
【注意点】
データの精度と偏り
AIは大量のデータを分析できますが、すべてのデータが完全に正確であるわけではありません。分析結果を鵜呑みにせず、他の情報と組み合わせて慎重に検討する必要があります。
プライバシーの懸念
録画データでは、個人情報は基本的にマスクされます。例えばユーザーがお問い合わせフォームに個人情報を入力した場合、録画データでは対象の部分は見えなくなっています。とは言え、AIが分析するツールのため、分析データに個人情報が含まれている可能性もあります。データの取り扱いには厳重な注意が必要です。WEBサイトのプライバシーポリシー等には必ずMicrosoft Clarityを使用している旨は記載しておいた方がよいでしょう。
Microsoft Clarityの実用的な使い方
Clarityを活用することで、ウェブサイトの改善ポイントを具体的に把握できます。特に、ヒートマップとレコーディング機能を有効活用することで、ユーザーの行動を詳細に把握し、UXの向上やコンバージョンの改善に役立てることができます。
【具体的な活用方法】
ユーザビリティの改善
ヒートマップを使って、ユーザーの関心が高いエリアや、離脱ポイントを把握し、コンテンツの配置を最適化できます。例えば、重要な情報やCTAボタンをユーザーが注目するエリアに配置することで、サイトの回遊性やエンゲージメントを高めることができます。
新しいページの検証
新しいページを追加後、ユーザーの反応を確認し、改善を行うことができます。ユーザーがどのように新ページを行動しているかレコーディングで確認し、問題点を特定できます。例えばミスクリックなどがあると、「これをボタンと間違えて押したのか。デザインを改善しよう」といったページ改修ができます。
AIが分析コメントを作成
AIに分析コメントを書いてもらうことも可能です。AIがひと通り分析をして、レポートを作成してくれます。クライアントにそのまま提出するわけにはいきませんが、分析レポートの骨子にはなると思います。
まずは1回使用することをおすすめします。ヒートマップやレコーディング機能など、無料とは思えない精度です。Microsoft Clarityの公式サイトでもデモを見ることができるので、ぜひ一度お試しください。 次回のセミナーは「GA4に独自の計算指標を加えてサイトの課題を発見する方法」です。GA4のより専門的な使い方について教えていただきます。お楽しみに！
＜田実先生のプロフィール＞
田実 日出翁（たじつ ひでお） ウェブ解析士マスター。総合広告代理店で約30年もマスマーケティングとWebマーケティングのプランナーとして従事し、2018年ウェブアクセル合同会社を創業。マスとWebの両方に通じているマーケティングプランナーとして、「お客様の成果にコミットする」をモットーに、戦略立案から制作・運用・解析、人材育成まで幅広く活動。大手広告代理店や大手新聞社など、数多くの企業でセミナー講師を務めている。ノース・ヒル顧問。
